リーフタンクとコーラルの世界

メイン フィールド

サンゴが生息するためのリーフタンク

海水アクアリウムのアップデート

視点が海水魚からサンゴへ Environment for Coral Life

これまで海水アクアリウムといえば、”海水熱帯魚”を中心としたものがほとんどでした。ごく一部でサンゴにフォーカスを当てた水槽を立ち上げている人もいましたが購入ルートもわずかでそんなに身近に感じる存在ではありませんでした。1970年台初頭はフィッシュオンリーの水槽から、サンゴを飼育するための水槽が初めて登場し海水魚水槽にサンゴを加えた水槽というのが現れ、サンゴの飼育が始まりました。

そこから、これまで”熱帯魚を鑑賞・観察する”ということを中心に展開していたアクアリスト達が一部のサンゴを水槽に投入するようになりました。そして”サンゴを飼育する””サンゴの生活する水域環境を再現する”という新しい概念がアクアリスト達の間で誕生しました。それがリーフタンクです。しかし、当時は材料も知識も枯渇状態で維持していくのがやっとの状態で一般飼育というのは非常に難しかったそうです。

人工的にサンゴ飼育が可能な環境ができる

1980年代からライブロック(天然の岩)を利用したろ過技術(生育環境づくり)が登場し、飼育可能なサンゴの種類も増えてリーフタンク1を始める事がアクアリスト達の中で現実味を帯びてきました。

そして、今では海水アクアリストの中で知らない人はいないメタハラ(メタルハライドランプ)の普及が2000年代初頭には進みサンゴ育成に欠かせない光量の安定性が保たれるようになりました。

その後、タンクのシステムの自動化が進みバイオフィルターやライブロックの品質向上が進み現在のようにアクアリストがより多様なサンゴや生態を育てることができるようになっていきます。

サンゴ飼育の知識と選択肢の増加

2020年代以降ではより多くのサンゴが家庭で育てられるようになり、タンクの自動化・飼育機械の発展によりSPSサンゴ2を初心者でも飼育可能になりました。特にフラグ作成技術3 が発展し、従来よりも飼育の幅が圧倒的に広がりました。

そして海水アクアリストがこれまで鑑賞・育成に注力していたものがさらに”分割・繁殖”という点に着目してやりがいが増えたことはリーフタンク史上に置いて大きな転換点だったと思います。

そしてリーフタンクの展開

Jaccy-Aquaworld

管理人のリーフタンク歴自体は中学生から始めて10年以上、自宅に設置して半年ほどの90cm水槽

現在のタンクシステムは一体型も多く、またそれ以外にもアクアリウム管理アプリやIoT(モノのインターネット)を活用したタンク管理システムが進化。スマホやPCを使って、水質、照明、温度などの管理ができるようになり、アクアリストがリアルタイムで水槽の状況を確認できるようになりました。
代表的なのでいうとRed Sea 社が展開するREEGER G2+シリーズの水槽はタンクシステムはもちろんのことライトによる光量調整がアプリ管理ででき、使用機器の追加やタンクセットのカスタマイズがオンライン上で簡単に行えることもあってリーフアクアリスト4の中でも人気が高いです。

海水アクアリウムというと熱帯魚を思い浮かべる人がほとんどですが、今ではリーフタンクも魅力あるアクアリウムの選択肢のひとつとなりました。小さいものは60cm水槽からはじめられ、水質が安定すれば海水魚よりも手間がかからない点も多くのアクアリストを惹きつける魅力の一つです。

また、熱帯魚とのカラーコントラストを楽しむアクアリストも多く、実際光量によってあらゆる角度から視覚的に鮮やかに映るサンゴの間を熱帯魚が通る姿はまさに”肴になる”絵面です。

ナガレハナサンゴを背景にライブロックを突くキイロハギ
Jaccy-Aquaworld

リーフタンクのはじめ方

リーフタンクの魅力が充分に伝わったところで、ここからは実際に自身でサンゴ水槽を始めるにあたって大事な事をいくつか伝えていこうと思います。

リーフタンクを始めるのに必要な力

リーフタンクを始めるにあたって初心者が心掛けないといけないことがいくつかあります。
特にアクアリウム自体を全く始めたことが無い方が何かのきっかけでリーフタンクから始めようと思うと大きく挫折してしまう可能性があります。

『こんなはずじゃなかった』とならないためにも一度、自身がリーフタンクを始めるのに向いているかどうか考える必要があります。

これからリーフタンクを始めるのに向いているかどうかという点から見た”初心者がリーフタンクをやるにあたって必要な力を5つ”挙げていこうと思います。

1.経済力(財力)5.0

海水アクアリウム自体、淡水アクアリウムよりも金銭的ハードルが非常に高いがサンゴ水槽はさらに高いです。また、タンクシステムが通常のサイズでも60cmx60cmx140cmとあるので部屋の広さに余裕がある程度ないと厳しいものがあります。

持続力(根気)4.0

これは海水アクアリウムに限らずですが、生き物を飼育し観察して知識を得るには一朝一夕の活動だけでは当然得られません。また、細かい事を積み重ねた経験値が後のコーラルライフに非常に影響してくるので手軽に始められる趣味とは違うことを理解しておきましょう。

観察力(注意力)3.0

サンゴは生き物です。植物や動物と同じように生命活動を行なっているので購入したら水槽に入れて放置という訳にはいきません。病気にもかかりますし、思わぬ水質変化で死滅することもあります。なので1日10分でも観察し、状態を確認する必要があります。

学習力(知識)5.0

もちろんサンゴについても学習しなければいけないのですが、リーフアクアリストについては”コーラルが生息しやすい環境を作る”というのがメインの作業になりますので海水の水質についてだったり、サンゴの生息環境や種類など多角的に学習する必要があります。

忍耐力(実体験)5.0


忍耐力については、すでにコーラルライフを経験している皆さんが感じてることであり初心者やこれからリーフタンクを始めようと思う方が一番想定していない力です。


リーフタンクやコーラルについては商品や生体が先行して市場に出回っていて情報が淡水アクアリウムに比べて少ないです。なので、自身の購入したコーラルがどういう種類でどんな個体かある程度調べても思わぬアクシデントや水槽全滅など想定外のことが頻繁に起こり得ます。

しかしだからと言ってリーフタンクを始められないかというとそうではありません。常に自身のコーラルとリーフタンクと向き合いトライ&エラーを冷静に対処し経験値を積んでいける人はコーラルライフにおいて誰もみたことない景色を得ることができるでしょう。


サンゴに関する基礎知識

リーフタンクを始める際、当然サンゴの知識を習得して行かなければいけません。海水魚や熱帯魚に関してはいくつか文献や書籍も多くある程度情報を得られるのですが、サンゴに特化した情報というのはなかなか見つかりません。

理由としては、まだ未知の部分が多いからだと私は思います。しかし、販売される個体自体は種類やカラーバリエーションも多く育成・観察しながらどこにもない情報を経験値として獲得できるというのがリーフタンクの最大の魅力だと思います。私自身もその魅力に取り憑かれた1人です。

そこで、ここからは最低限サンゴを飼育していくにあたって必要な知識を共有していきたいと思います。

ソフトコーラル

ウミキノコ系

ウミキノコ             

Jaccy-Aquaworld

🔹代表種:サルコファイトン(ウミキノコ)/シンエリア

特徴
  • 傘のような形状で、表面に細かいポリプを持つ
  • 光合成能力が高く、褐虫藻と共生
  • 成長が早く、丈夫で初心者にも人気
飼育ポイント
  • 中光量(PAR値5100〜200)で十分
  • 水流は中程度のランダムフロー
  • 水質の変化にも比較的強い

ヤギ系

リュウキュウイソバナ

Jaccy-Aquaworld

🪸代表種:ムチヤギ/ウミウチワ/ウミトサカ

特徴
  • 枝分かれした美しい樹木状の形
  • 一部は光合成をしないため給餌が必要
  • 高水流を好む種類が多い
飼育ポイント
  • 光合成型:中〜高光量(PAR値150〜250)
  • 非光合成型:暗所でも飼育可能だが積極的な給餌が必須
  • 強い水流が必要(デトリタス6を避けるため)

トサカ系

フサトサカ          

Jaccy-Aquaworld

🪸代表種:リットウィア(シンプレクシア)/カリフラワートサカ

特徴:
  • ポリプが密生してフワフワと揺れる外見
  • 色とりどり(赤・紫・緑など)で観賞性が高い
  • 成長が早く、水質変化への適応力が強い
飼育ポイント:
  • 光量は中程度(PAR150〜200)
  • 水流は中程度で、強すぎると縮むことも
  • 添加剤は不要だが、ヨウ素などを補うと活性UP

分類名光合成飼育難易度特徴
ウミキノコ系あり★☆☆丈夫・成長早い・初心者向け
ヤギ系あり/なし★★★美しい形・非光合成種は難易度高め
トサカ系あり★★☆カラフル・観賞性高・育てやすい

(内部リンク:サンゴ導入編/サンゴ図鑑/サンゴの病気/毒性について/

ハードコーラル


ハードコーラル(造礁サンゴ)は石灰質の骨格を持ち、水槽でも「礁(リーフ)」を形成するサンゴです。こちらも大きく以下の3つの分類で解説できます。

SPS [小型ポリプ石灰質サンゴ]

ミドリイシ

Jaccy -Aquaworld

代表種
  • ミドリイシ(Acropora)
  • ハナヤサイサンゴ(Montipora)
  • ウスコモンサンゴ(Seriatopora)
特徴
  • 小さなポリプで表面が繊細
  • 骨格が硬く、リーフタンクの中心的存在
  • 光合成能力が高いが、環境の変化に敏感
飼育ポイント
  • 高光量(PAR値300〜500)
  • 高水流(ランダム)が必須
  • 水質は超安定(Ca, KH, Mgを常にチェック)

基本的には飼育難易度が非常に高いですが、システム技術の進歩のおかげで現在のリーフタンクシステムで飼える種になった代表例です。

LPS [大型ポリプ石灰質サンゴ]

ナガレハナサンゴ 

Jaccy-Aquaworld

代表種
  • ナガレハナサンゴ(Euphyllia)
  • トランペットコーラル(Caulastrea)
  • ハナガササンゴ(Goniopora)
特徴
  • 大きな触手を持つプルプル系
  • ポリプの動きが美しく、動きで癒される
  • 光合成+給餌も有効なハイブリッド型
飼育ポイント
  • 中〜高光量(PAR150〜300)
  • 適度な水流(強すぎるとポリプが傷む)
  • 定期的な微小粒餌(サンゴフード)給餌が効果的

ミックス型(SPS+LPSを組み合わせるタイプ)

ウミアザミ

Jaccy-Aquaworld

代表的な応用種
  • ウミアザミ(花咲き系LPS)
  • ミドリイシ×ナガレハナの組み合わせなど
特徴
  • 配置や照明を分けて共存を図るスタイル
  • システムや経験値がある程度必要
  • 美しさと多様性を両立できる上級レイアウト向け
飼育ポイント
  • ライトの配置や岩組でゾーニング7(光の強弱)
  • 水質安定は必須条件(SPS側に合わせるのが一般的)
分類ポリプの大きさ代表種光量難易度特徴
SPS小さいミドリイシ等高(300~500)★★★美しいが繊細・上級者向け
LPS大きいナガレハナ等中(150~300)★★☆ゆらめく触手が魅力・中級者向け
ミックス型混合SPS+LPS要ゾーニング★★★多様性ある水景・配置工夫が必要

ざっくりと大まかなサンゴの種類について紹介しましたがより詳しく知りたい方は是非サンゴ図鑑を見てみてください。

内部リンク>Jaccy-Aquaworldの図鑑 なっ得!まるごとコーラル図鑑DX

サンゴの生育海域

サンゴは水質に敏感で温度変化にもです。では実際自然界ではどのような規模感で生息しているのでしょうか。リーフタンクを始めようと考えているのであれば学習しておきたいトピックです。

はい、サンゴの生息水深は大きく3つの水深帯に分類することができます。それぞれの環境特性とサンゴの適応について説明します。


🌊 サンゴの生息水深による3分類

浅瀬

ダイビングなどではシャロー・リーフ・ゾーン

水深:0〜10m前後

特徴:
  • 太陽光が豊富に届く → 光合成サンゴ(褐虫藻と共生)が多く生息
  • 水温変化や潮の影響を受けやすいが、生物多様性が非常に高い
  • 波の影響を受けるため、骨格のしっかりしたサンゴが多い(ミドリイシなど)
主なサンゴ:
  • ミドリイシ属(Acropora)
  • ウスコモンサンゴ(Seriatopora)
  • シコロサンゴ、ハマサンゴ など

中瀬 

🌤 水深:10〜30m前後

特徴:

  • 光量はやや減少するが、まだ褐虫藻との共生が可能
  • 波の影響が少なく、LPSやソフトコーラルが豊富
  • 色彩が豊かで、水槽向きのサンゴが多く見られる

主なサンゴ:

  • ナガレハナサンゴ(Euphyllia)
  • トランペットコーラル(Caulastrea)
  • トサカ系ソフトコーラル、リットウィアなど

深場

🌑 水深:30〜150m程度

特徴:
  • 光がかなり弱く、光合成できる種は限られる
  • 一部は完全に非光合成性で、プランクトンなどの摂取が必要
  • 水温が安定しており、成長は遅いが長寿命
主なサンゴ:
  • 非光合成型のヤギ類(ウミウチワなど)
  • 黒サンゴ(Black coral)
  • 深場ミドリイシや一部のレアLPS種

>まとめ

分類水深光量主なサンゴ例特徴
浅瀬帯0〜10m強いミドリイシ、ハマサンゴ光合成旺盛、波の影響あり
中層帯10〜30m中程度ナガレハナ、トサカ系多様で観賞性が高い
深場帯30〜150m弱い〜なし黒サンゴ、非光合成ヤギ類光に頼らず、給餌が必要

📌 水槽環境を再現する際は、「どの水深帯に近いか」を意識することで、光量・水流・給餌量などの設計がより自然に近づきます。そして、これらを把握しておくとコーラル飼育をしていく上でリーフタンクをメンテナンスしていく際にさまざまなアプローチをすることができます。

サンゴに必要な光量測定値と水流

サンゴとPAR値の関係について

サンゴは体内に共生する褐虫藻によって光合成を行い、栄養を得ています。この光合成に必要な光の強さを示す指標が「PAR値」です。サンゴの種類により適正なPAR値は異なり、SPSは300以上、LPSは150〜250、ソフトコーラルは100〜200程度が目安です。適正なPAR値を保つことで、サンゴは健康に成長し、美しい発色を保つことができます。照明選びや配置において非常に重要な要素です。

サンゴに必要な水流について

サンゴにとって水流は、呼吸や排泄、栄養の循環、老廃物の排出に欠かせない重要な要素です。種類によって好む水流の強さは異なり、SPS(小型ポリプ石灰質サンゴ)は高い水流を、LPSやソフトコーラルは中〜弱めの水流を好みます。水流が弱すぎるとゴミが溜まり、病気やコケの原因になり、逆に強すぎるとポリプが傷むこともあります。ランダム性のある水流を意識し、サンゴが自然に揺れる程度のバランスが理想です。水流ポンプの設置場所や方向も重要です。

サンゴが生息する海域の水質

サンゴが生息する海域は、水質(特に栄養塩の量)や水の動きのエネルギーによって「高栄養〜低栄養」に分類され、それぞれの環境に適応したサンゴが分布しています。以下のように3つのエナジーレベルで整理できます。

サンゴ生息海域の水質分類(高栄養〜低栄養)

ハイエナジー海域(高栄養環境)

=High Energy / High Nutrient

  • 激しい水流・潮通しが良く、波が強い沿岸〜外洋沿い
  • 栄養塩(硝酸・リン酸など)が豊富
  • サンゴは褐虫藻だけでなく給餌(プランクトンなど)でも栄養を得る
    →[内部リンク:褐虫藻とプランクトンの違い]
  • 水質がやや不安定でも適応力のあるソフトコーラルやLPSが多い

✅トサカ系、ウミアザミ、ナガレハナ、オオバナなど

フサトサカ
ウミアザミ
ナガレハナ
ミディアムエナジー海域(中栄養環境)

=Medium Energy / Moderate Nutrient

  • 適度な水流と安定した日射のある中層リーフエリア
  • 中程度の栄養塩が存在し、光合成+給餌のバランス型
  • LPSや一部のSPSが安定的に育成される理想環境

✅トランペットコーラル、バブルコーラル、ハナガササンゴなど

トランペットコーラル
バブルコーラル
ハナガササンゴ(レッド)

※□=2cm は背景のネットが2cm角正方形という意味

ローエナジー海域(低栄養環境)

=Low Energy / Low Nutrient

  • 波の影響が少なく、クリアで透明度の高い外洋の深場
  • 栄養塩が非常に少ない(=低栄養=ウルトラロー)
  • 光合成に特化したSPSサンゴが中心(褐虫藻依存度が高い)
  • 水質変化に極めて敏感で、安定性が重要

✅ミドリイシ、ウスコモンサンゴ、ハナヤサイなど

ミドリイシ
コモンサンゴ
ヘラジカハナヤサイサンゴ
エナジー分類栄養環境主なサンゴ例特徴
ハイエナジー高栄養(給餌型)トサカ、ナガレハナサンゴなど浅場・波が強い・丈夫
ミディアムエナジー中栄養(混合型)ハナガササンゴ、トランペットコーラルなど多様性があり飼育しやすい
ローエナジー低栄養(光合成型)ミドリイシ、ハナヤサイサンゴなど水質に敏感・水槽での再現が難しい

この分類は飼育環境設計にも直結します。水槽内でのサンゴのレイアウトに非常に役立つ知識になりますので基本として押さえとくといいかと思います。

リーフタンクを始めるリスク

サンゴを飼育するにあたって踏まえておきたいリスクとそれに対するリスクヘッジについて触れていきたいと思います。

リーフタンク(サンゴ水槽)を始める際のリスク 10選

【1.初期コストが高い】
⇨水槽・照明・ろ過装置・水流ポンプなど、設備投資に数万~数十万円かかる
【2.ランニングコストがかかる】
⇨電気代,人工海水,添加剤,機材メンテナンスなど、毎月1万円以上の維持費が発生することも。
(ランニングコストについての記事/日々のメンテナンス/サンゴの参考価格にひもづく記事)
【3.水質管理がシビア 】
⇨サンゴは水質変化に敏感。
栄養塩や海水に含まれる無機物濃度などを管理しないと白化や崩壊につながる。
  • 海水作りについて
  • 全国の水道水の硬度
  • ろ過について
  • サンゴ飼育における栄養塩と無機物
【4.時間と手間がかかる 】
⇨毎週の水換え、水質測定、機材メンテなど、継続的な管理が必要。
長期的に見ると「思ったより大変」と感じることも。
【5.生体のロスが発生しやすい】
⇨人工海水の作り方、水温・水質の急変、病気、相性問題などで、
高価なサンゴや魚を失うリスクがある。
  • リーフタンクを始めて分かった事(体験談)
【6.トラブル時の対応が難しい】
⇨急な水質悪化、サンゴの白化、病気の発生など、原因究明と対策が初心者には難しいことも。
  • サンゴの病気について
  • 緊急措置と正しい対処方法
  • 原因究明と予防対策
【7.停電や機材トラブルに弱い】
⇨停電時に酸欠、水温変動、ろ過停止などが起こると、数時間で水槽崩壊のリスクがある。
UPS(無停電電源)導入などの対策が必要。
  • トラブルシューティング
  • 災害時・非常時対策に関連した記事
【8.海水や機材の取り扱いミスで事故の可能性】
⇨水中ヒーターの空焚き、ポンプ・エアコンシステムの故障などでサンゴ全滅のリスクもあるがそれ以上に人身に関わる重大な事故🚨につながる場合もある。
  • 日常に家庭で起こりうる事故関連記事
  • 具体的な発火事例
【9.生体の相性問題や捕食のリスク】
⇨サンゴ同士のケンカ(毒の影響)、魚やエビの食害など、計画的な生体選びが必要。
  • サンゴレイアウトのコツ
  • リーフタンクで飼育・混泳可能な海水魚について
【辞める時の処分が大変】
⇨生体の引き取り先、機材の処分、塩ダレや水漏れによる家具の影響も大きく、
いざやめようというときにそう簡単に手放せない。
  • リーフタンクのレンタルリースの解約方法
  • リーフタンクを辞めるには
  • 生体・個体の正しい処分、引渡し方法
  • 引っ越しをする際にかかる費用とリスク

内部リンク>リーフタンクのリスクとコスト

このように、リーフタンクを始めるのに多くのリスクがありそれが面倒だと思う方がほとんどかもしれません。しかし、現在は過去に比べて機材の進化やYoutube,コンテンツの進歩が著しく、より多くの課題解決が可能になりました。リーフタンクを始める決断とまではいかないにしてもサンゴ飼育について興味が湧いたのではないでしょうか。ここで大事なのは”自宅でもサンゴ飼育・観察ができるようになった”という事です。

外部リンク:トールマン・チャーム・東京アクアガーデン


リーフタンクを立ち上げるのに必要な予算

ここからは、実際にリーフタンクを立ち上げる際にかかるコストについて紹介していきます。

実際にかかる費用としては5〜6万円から10〜100万円とかなり広くなってしまうのですが、このさいとではざっくり3つのコストクラスに分けて説明しています。エントリークラスでもサンゴは育てられるけど、ミドルクラス以上になると水質が安定しやすく、より多様なサンゴを楽しめます。
ハイエンドクラスは完全な趣味領域で、究極の美しさとフルオート化を追求する人向けとなっています。

クラス予算目安水槽サイズ主な機材・内容特徴
🔰 エントリー約5万〜10万円30〜45cm簡易LED
外掛けF or 小型スキマー、ヒーターなど
安価・省スペース、初心者向け
🌊 ミドル約15万〜30万円60cm前後本格LED、プロスキマー、水流ポンプ、クーラーなど安定運用しやすく、LPSなども飼育可能
🐠 ハイエンド50万円以上〜75〜120cm以上高性能機材+自動化システム、色揚げ対応LEDなどSPS育成・自動管理も可能なプロ仕様

※F=フィルターの略です。

リーフタンクを立ち上げる際の予算は、選ぶ機材や生体の種類によって大きく変わります。ここでは、初心者〜中上級者向けに、以下の3段階でわかりやすくまとめます。

🔰【エントリークラス】予算:約5万円〜10万円前後

【構成内訳】

  • 小型ガラス水槽(30〜45cm) ¥5,000〜¥10,000
  • LEDライト(簡易リーフ対応) ¥7,000〜¥15,000
  • 外掛けフィルター or 小型プロテインスキマー ¥3,000〜¥8,000
  • ヒーター+サーモ ¥3,000前後
  • 比重計・水質テストキット ¥2,000〜¥5,000
  • 人工海水・ライブロック・底砂 ¥5,000〜¥10,000
  • 生体(クマノミ、ソフトコーラルなど) ¥5,000〜¥10,000

【特徴】

  • コストを抑えつつ、丈夫なサンゴや魚でスタート可能
  • 水量が少なく、水質の安定にやや注意が必要

🌊【ミドルクラス】予算:約15万円〜30万円前後

【構成内訳】

  • オーバーフロー付き60cm水槽 or 高品質外部フィルター水槽 ¥30,000〜¥60,000
  • リーフ対応LEDライト(複数チャンネル調光) ¥20,000〜¥50,000
  • プロテインスキマー(性能良) ¥10,000〜¥30,000
  • 水流ポンプ ¥5,000〜¥10,000
  • クーラー or ファン(夏対策) ¥10,000〜¥30,000
  • 水質テストキット・添加剤 ¥5,000〜¥10,000
  • 人工海水・ライブロック ¥10,000〜¥20,000
  • 生体(LPSサンゴや複数の魚) ¥10,000〜¥30,000

【特徴】

  • 水量に余裕があり、水質安定しやすい
  • ある程度難易度の高いサンゴでも飼いやすくなる環境

🐠【ハイエンドクラス】予算:50万円以上〜

【構成内訳】

  • フルセットオーバーフロー水槽(75cm〜120cm) ¥100,000〜¥300,000
  • ハイエンドLEDまたはメタハラ照明8 ¥50,000〜¥150,000
  • 高性能プロテインスキマー&リアクター類 50,000〜¥100,000
  • 自動給水装置・自動添加装置 20,000〜¥100,000
  • 水質モニタリングシステム ¥50,000〜
  • クーラー ¥30,000〜¥80,000
  • 生体(SPSサンゴ、高級魚)¥50,000〜¥200,000以上

【特徴】

  • サンゴの育成・色揚げ・自動化も実現
  • 維持費もかかるが、圧倒的な美しさを楽しめる

具体的な水槽立ち上げなどは他の記事にて紹介していますのでご自身の予算に沿ったステップを是非確認してみてください。

⏩[内部リンク:エントリークラス
⏩[内部リンク:ミドルクラス
⏩[内部リンク:ハイエンドクラス

最後に

アクアリウムの中でもとりわけ難易度の高い”リーフタンク””サンゴの飼育”ですがここ最近新たに注目を浴びている理由としては、コレクション性の高さとリーフタンク設備の全自動化などによる簡易化が一番大きいです。特にリーフタンク設備の機能性の高さと簡易化は過去のものとは違い今や”誰でもできる”設備となりました。それでも不安な方は水槽レンタルや水槽を販売しているアクアショップの店員などが設置のサポートなど積極的に実施していますので興味を持った方は一緒にスタートする気持ちでリーフタンクアクアリウムを進めていくとより良いコーラルライフを過ごせるかと思います。

  1. リーフタンク…海水アクアリウムに置いてサンゴを中心に鑑賞・育成・維持・管理していく水槽のこと ↩︎
  2. SPSサンゴ…小型ポリプ石灰藻サンゴのことで水質管理に置いて飼育難易度が高いサンゴの種類 ↩︎
  3. フラグ作成技術…サンゴを繁殖させるために特殊なセラミックフラグに活着させて育成していくこと ↩︎
  4. リーフアクアリスト…リーフタンクをメインとするアクアリストのこと ↩︎
  5. PAR値…サンゴの光合成をするのに必要な光量の値 ↩︎
  6. デトリタス…生物の死骸や排泄物が分解され、粒子になった有機物 ↩︎
  7. ゾーニング… ↩︎
  8. メタハラ照明…メタルハライドランプのことで高輝度、省電力、長寿命であることから大型水槽を導入しているアクアリストが使用することが多い ↩︎

コメント

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