海の水を知って海水をつくる
リーフタンクを始めるにあたって、”海水づくり”は非常に重要な工程です。しかし、海水づくりは”塩水”とは違いただ水と塩を混ぜるだけというわけにはいきません。
リーフタンクのシステムも非常に便利になり、より簡易的にはなりましたがそれでも自然界の”海水”に何が含まれていてサンゴや熱帯魚たちとどのような相互関係を築いているのか理解しておくとよりコーラルライフに奥行きが広がります。
【Mission】
・海での海水の役割について理解する
海水は生物の源であり、海において非常に重要な役割を持っています。その役割をまずしっかり理解して水槽の海水をつくっていきましょう。
海水に含まれる物理的資源
海では海水中に含まれる物理的資源(physical resource)によって多くの生命活動が活発に行われ豊かな自然を形成しています。ここでは具体的にどのような生物たちが生存しているのか、またその生物たちが生活していく環境とはどういうものなのか説明していきます。
- 海水の水温
- 塩分濃度(海水の塩分濃度は通常約3.5%)とイオン溶解度
- 光合成有効層1の存在:海中の生物に太陽光が届く距離(サンゴの観察や水槽におけるライトの光の届き方にも影響)
海水の水温について
サンゴの分布については水深0m〜150mほどとかなり広域となってしまうのですが、ここでは一般的な海面から海底までの水温に関して説明していきます。
水深 | 水温 |
海面(3〜5m) | 18〜28° |
中層(5〜30m) | 14〜24° |
海底(30m以下) | 16°以下 |
海水の水温の大きな特徴として、水温変化がゆるやかなことです。
理由としては、
🔹大型の海流によって流動性が保たれていること
🔹水量の規模が大きいこと
が挙げられます。そして、サンゴも個体によって生息海域が異なるので個体毎に最適水温があることを頭に入れておいてください。
サンゴの生息水深による分類
【浅瀬-水深3〜5m】
18〜28°
シャロー・リーフゾーン
<特徴>
太陽光が豊富に届くが水温変化も激しく潮や波の影響を受けやすいゾーン。生物多様性が非常に高いことから栄養源が豊富(褐虫藻と共生2)。
<個体例>
ミドリイシ・ウスコモンサンゴ・ハマサンゴなど
>リーフタンクでは
水温上昇には強いが、海水の水質が安定しないと難しい種が多い。ただし、90cm(150L)以上の水槽であれば飼育可能となる。
【中層-水深5〜30m】
14〜24°
ミッド・リーフゾーン
<特徴>
光量は減少するが、褐虫藻との共生が可能(栄養源が少しある)。波の影響はそこまで受けず色彩豊かなLPSやソフトコーラルなど水槽向きのサンゴが多くみられる。
<個体例>
ナガレハナサンゴ・トサカ系ソフトコーラルなど
>リーフタンクでは
水槽の水温に適してる種が多いので飼育しやすいのはほとんどこのゾーンに生息している個体。個体によっては水流に当たると調子を崩す場合がある。光合成をしつつ給餌が必要になってくる。
【深場-水深30m以下】
16°以下
ディープ・リーフゾーン
<特徴>
光量はかなり弱く、一部は完全に非光合成で代わりにプランクトンを摂取する。水温が安定した環境なのでゆっくり長く育つ種が多い
<個体例>
ウミウチワ・クロサンゴ・深場ミドリイシ・レアLPS種
>リーフタンクでは
個体によっては飼育できるが長期的かつ水質、水温ともに安定性が重要なので大規模な設備が必要な為、水族館や一部特定の機関で飼育されていることが多い。
個人での飼育はかなり貴重
リーフタンクの最適水温は18〜25°です。さまざまな種類のサンゴを一つの水槽で同時に飼育していくのですが、基本的には水槽内のレイアウトなどで微調整をしていきます。

*トワイライトゾーン(twilight zone)=中深海水槽の英訳
海水の塩分濃度
海水中には約3.4%の塩分が含まれています。なぜこの濃度が重要なのでしょうか。
一番わかりやすく身近な例である「あさりの砂抜き」で考えていきます。


「あさりの砂抜き」とは、砂の無い海水と同じ塩分濃度の塩水で呼吸をさせあさりの体内にある砂を吐き出させる作業です。
ここで注目したいのは、あさりは真水では呼吸できないと言うことです。これはあさりが海水の濃度でしか呼吸できない事を意味します。つまり海水魚やサンゴを含めた多くの海の生き物はこの”海水の塩分濃度”でしか呼吸できない構造になっているのです。この呼吸の仕組みを浸透圧調整と呼びます。この仕組みについて語り出すとキリがないのでここではあさりは海水でしか呼吸できないと言うことだけ頭に入れておいてください。(内部リンク:魚の浸透圧調整について)
イオン3溶解度
そして、生き物が呼吸できるように塩分濃度を調整してリーフタンク用の海水を作っていくのですが、この時アクアリストが作った海水の塩分濃度を測るのが比重計です。
比重計は海水中に塩から溶け出したイオンを目に見える形で測れる測定器です。


比重計を使って比重を計測する際に大事なポイントがあり、それは”水温で比重が変化する”と言うことです。これは海水は水温が低くなるほど密度が大きく4なりおもくなっていく性質によるものです。
(内部リンク:海水比重と温度の関係)
このように、海の生き物たちが呼吸をしていく上で重要な塩分濃度を比重計などの測定器を使って調整しながら水槽の海水作り専用の塩やさまざまな材料でアクアリストは海水をつくります。
海水の生物的要素
海水にはサンゴの餌となるたくさんの生物が存在しています。特に光合成を行うサンゴにとって植物プランクトンは切っても切り離せない存在です。ここでは海水中に漂ってる生物とサンゴの関係について説明していきます。
海水に含まれている代表的な生物として以下のものが挙げられます。
- プランクトン
植物プランクトン…主に褐虫藻
動物プランクトン - バクテリア(水質浄化バクテリア)
脱窒細菌…主にろ過バクテリア
海洋生態系の図解ー日本海事広報協会より


プランクトン
まず、植物プランクトンとサンゴの相互関係ですが代表的なのは褐虫藻です。サンゴは褐虫藻を取り込むことで光合成で生産された糖などの栄養分を得ることができるようになります。サンゴ自身では栄養を生成することができないため、この相互作用はサンゴの生活にて非常に重要な役割を持ちます。
また、動物プランクトンですが中層〜深海では有効層(太陽の光)が届かないために栄養が光合成によって生成することができないので、直接動物プランクトンを捕食して生きていかなければいけません。
プランクトンの存在は大抵の人が「水に含まれていると生物が生き生きとするな」程度で考えているかと思いますが、リーフタンクにおいてはこの動物プランクトンを捕食するサンゴには意図的に給餌をしなければいけません。さらに、リーフアクアリストはサンゴLEDライトやメタハラなどを使ってより太陽に近い光を浴びさせる作業があります。この作業は、サンゴの体内に眠る植物プランクトンを呼び覚まし効果的に光合成を起こさせるためにあります。
また、サンゴが生育する環境は水質が非常にレベルが高いです。ろ過材やプロテインスキマーなどでは処理しきれないデトリタスや魚のフンなどで数値が上がってしまう硝酸塩の濃度などを抑えるのにもプランクトンは重要な働きをします。
(内部リンク:リフジウム水槽とプランクトン)

栄養塩
海の生き物(特に藻類やバクテリア、サンゴ)にとって“栄養”となる無機化合物の総称を「栄養塩」といいます。
この栄養塩は、サンゴの生命活動に必要不可欠なのですがリーフタンクでは「多すぎても少なすぎてもダメ」という厄介な存在でもあります。

海水中の主要な栄養塩の中身
栄養塩の種類 | 主な由来 | サンゴや海藻にとっての役割 | 多すぎた場合の影響 |
---|---|---|---|
硝酸塩 | 魚のフン、餌の分解 | 窒素源、光合成に関与 | サンゴの褐虫藻が増えすぎて茶色化、コケ繁殖 |
亜硝酸塩 | 硝化途中の副産物 | 一時的なもの(本来すぐ硝酸塩になる) | 有害。魚やサンゴにダメージ |
アンモニア | 魚の排泄・腐敗物 | 最初の形態の窒素源 | 毒性が非常に高く、致死レベル |
リン酸塩 | 餌・排泄物・水道水 | 骨格形成・エネルギー代謝に必要 | コケの爆発的増殖、カルシウム沈着阻害 |
ケイ酸塩 | 水道水、砂、ガラス水槽 | 珪藻(茶ゴケ)の栄養源 | 初期に茶ゴケが繁殖しやすくなる |
カリウム | 天然海水中の微量成分 | 藻類やサンゴの代謝・色彩維持 | 極端に偏ると生体にストレス |
鉄分(微量) | 餌、添加剤 | 海藻・褐虫藻の光合成補助 | 過剰だと藻類が繁殖することも |
理想的な栄養塩の目安(リーフタンクの場合)
項目 | 理想値(目安) |
---|---|
アンモニア | 0 ppm |
亜硝酸塩 | 0 ppm |
硝酸塩 | 0.25〜5 ppm |
リン酸塩 | 0.01〜0.05 ppm |
ケイ酸塩 | 0 ppm(できるだけ) |
カリウム | 380〜420 ppm |
鉄分 | 微量(検出限界以下) |
バクテリア
リーフタンクにおいてこれらの無機物濃度のバランスをとってくれるのが、『ライブロック5』でこのライブロックに付着しているバクテリアが水槽にとって有害な栄養塩を除去してくれます。良質なライブロックはリーフタンクにとって更なる水質向上をもたらしてくれるのですが、その最大のメリットは付着しているバクテリアによるろ過フィルターとしての役割です。


(内部リンク:ライブロック・徹底解説/ライブロック・マルコロックの使い方)
硝化サイクル
海水に含まれるバクテリアのお仕事は”硝化サイクル”を行なって海水を浄化することです。先程言ったように、栄養塩というのは多すぎても少なすぎてもダメでそのバランスを取る役割をするのがライブロックを住処としているバクテリアなのですが、実際どういうことをしてバランスをとっているのでしょうか?その答えが”硝化サイクル”と言うバクテリア独自の変換システムにあります。

このシステムがなければ、魚は自分で排出したフンによって死んでしまう恐れもあります。そしてもっと言えばこの魚が排出した硝酸塩の数値が高すぎると水質が悪化し、サンゴが白化してしまうことに繋がるのです。
実際に、海水中の成分をチェックできる試験紙を使って比較してみましょう。

これはライブロックのあるリーフタンクと淡水の金魚水槽の硝酸塩数値を比べた結果です。
試験紙の部分が白に近いほど硝酸塩数値は低く、ピンクが濃いほど数値は高くなります。

ライブロックと砂のあるリーフタンク
このタンクの中ではライブロックや砂に含まれているバクテリアが”硝化サイクル”を行なっているため硝酸塩数値が低い。

何も入ってない金魚水槽
このタンクでは硝酸塩を分解するバクテリアが少量のため数値は高い。
このように、リーフタンクを始めて水槽を立ち上げる時は海水魚やサンゴの生活環境を総合的に考えて海水をつくっていく必要があります。
海水の性質
これまで、海水の中に存在している生き物たちに着目してきましたが次に海水そのものに目を向けてみましょう。海水はイオンという無数の原子で形成されています。そして、その性質は浄水と違う構造をしていると言うことを頭の片隅に置いといてください。
そしてリーフタンクを立ち上げて”海水をつくる”上でこの知識無くしては先へ進むことはできません。ここでは身近にある水を化学的側面から見ていきましょう。
なぜ海水はアルカリ性なのか
まず、海水は”アルカリ性”です。そして、浄水は”弱酸性”です。海水がアルカリ性なのは鉱物の風化や海洋生物による炭酸カルシウムの形成などが理由です。では”アルカリ性”の海水がなぜサンゴにとって重要なのでしょうか。
海水は細かく見ていくと無数のイオンで形成されています。その中でサンゴに直結する要素がカルシウムイオン・炭酸イオンの存在です。
さまざまな海の生物は、海水中に多く含まれるカルシウムイオン(Ca2+)と炭酸イオン(CO32-)から、水に溶けにくい炭酸カルシウム(CaCO3)の骨格や殻を作っています。現在の海面付近の環境下では、水素イオンの濃度が充分に低いため、炭酸カルシウムの飽和度が高く、これらの生物は、その骨格などを作ることができます。
気象庁 | 海洋酸性化の知識>影響より
つまり、サンゴの骨は海水中のイオンからいろんなプロセスを経てできているわけです。
浄水と海水の違い
次に海水のPh(ペーハー)をみていきます。。ペーハーとは水溶液が酸性かアルカリ性か中和されているかどうかなどに使われますが、ここでは水槽の海水と浄水での比較をしてみようと思います。

一般的に水道水と呼ばれる浄水は、Ph5.8≦8.6の弱酸性で不純物や塩素などを除去した「人間に適した水」です。一方、海水のPhは約8.1ほどで弱アルカリ性でサンゴの骨格形成に必要な成分が含まれている「サンゴに適した水」になります。
通常、リーフタンクの規模がそこまで大きく無い時は浄水をカルキぬき6をし、海水用塩7を使って海水を作って水換えをすることがほとんどです。しかし、元の浄水の酸性の数値が高いとカルキ抜きではアルカリ転換しきれず、バクテリア剤などを加えても元の水の性質が変化していないためサンゴの飼育不良に関する問題の解決になっていない事がほとんどです。
つまり、リーフタンクを立ち上げていくときに、この”浄水”を”海水”に性質を変化させる工程がプラスαとしてあるとよりサンゴの育成が容易になってきます。では実際どのようにして”浄水”を”海水”のPhに近づけていくのでしょうか。
RO水(超純水)について
浄水を海水の性質に近づける作業はざっくりいうと、ROフィルター(逆浸透膜)を通して不純物(主に塩素や硝酸塩など)を分子レベルで除去していくことで可能となります。その不純物を取り除いた超純水のことをRO水と言います。英語では、「Reverse Osmosis Membrane」と書きます。この頭文字をとったものがRO水です。

浄水をRO水にする
アクアリウムショップTall Manの
ダイナマイト・バズーカ


使い方としては水道の蛇口と繋ぐだけで稼働します。
(内部リンク:RO浄水器について=バックヤード)
実は日本の浄水の性質は各都道府県毎に違い、特に硝酸塩が強くでてしまう地域の浄水だとサンゴの飼育が不向きな場合があります。
全国の浄水硬度について
水の硬度は、水1リットル当たりにマグネシウムとカルシウムが何mg含まれているかを示しています。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度120mg/L以下が軟水、120mg/L以上が硬水とされています。日本の水道水は一般に軟水であると言われていますが、その硬度は地域によって異なります。

細かい地域での硬度もアクアリウム関連の会社HPで確認できたり、自宅の水質検査などは最寄りのアクアリウムショップなどで行ってくれる場合もありますのでぜひ確認してみてはいかがでしょうか。
【全国都道府県水道水硬度・PHデータhttps://www.gex-fp.co.jp/fish/megreen/?page_id=1597】
実際の人工海水のつくり方
ここまでで自然界での海水の役割や性質が理解できたかと思います。それでは実際にどうやって人工海水をつくっていくのでしょうか。ここでは簡単に説明していきます。
[参考記事]
内部リンク:エントリークラス>水槽の初期設定編
内部リンク:ミドルクラス>水槽のレベルアップ編
内部リンク:ハイエンドクラス>超上級者向け・リーフタンク極み編
人工海水と水槽の立ち上げ
まずはじめに、浄水の温度設定を確認します。(比重を測る際に非常に重要)理想は35〜38°で給湯器などで調整できるかと思います。
次に浄水蛇口とRO浄水器を繋げ、浄水をRO水へと処理します。
処理したRO水に人工海水を適量入れて、海水の比重を1.022~1.025の範囲内に調整します。比重の測定は、人工海水が十分に溶け切ってから行います。
人工海水は丸一日水槽内で循環しておけば、完全に溶けて透明度が上がってきます。これでできた海水水槽の中に*ライブロックを入れてサンゴを入れるまで数日、立ち上がってくる8のを待ちます。
>水1Lあたりのライブシーソルトの溶解量と海水濃度
溶 解 量 | 35g /L | 38.5g /L | 40.8g /L |
海 水 濃 度 | 30‰9 | 33‰ | 35‰ |
比 重(25°の時) | 1.020 | 1.022 | 1.023 |
塩分濃度のチェック方法
簡易比重計を使用した例
こちらは立ち上げた海水水槽に入れて塩分濃度を確認するものです。ポイントは水槽に入れて、海水が比重計の中に入った時に気泡が入らないようにすることです。気泡が入っていないことを確認したら針が動きますので規定のメモリ(1.020~1.023)の間になるか確認します。

塩分濃度計を使用する例
こちらは本格的な屈折計を使用した例です。簡易的な比重計よりもより正確な数値が出るため、長期的・本格的にリーフタンクを続けていきたい方は塩分濃度計を使う方をおすすめします。
立ち上がった水質のチェック
水槽の海水が立ち上がったら、すぐにサンゴを入れられるわけではありません。少なくとも1〜2週間ほどは生体は入れず水槽稼働だけしておきます。これは、ライブロックについていた生物や砂の中のバクテリアなどが落ち着くまで見るのが目的と病原菌や栄養塩の濃度が変化してくるので水質が安定するのに時間がかかる為です。
【数値での水質確認】
硝酸塩・リン酸塩 | 0〜4ppm PH(8~8.2) |
PH | 8〜8.2 |
KH | 7〜9 |
Ca | 400~460 |
Mg | 1200~1400 |
水質を確認する際はテストキットを使うかもしくは、最寄りのマリンアクアリウムショップへ立ち上がった海水を持っていけば水質検査をしてくれる場合があるので是非足を運んでみてください。
実際に自宅で水質をテストする場合
試験紙を使う
このテスト方法は非常に手軽でメジャーな方法なので、リーフタンクに限らず多くのアクアリストが取り入れているテスト方法になります。シンプルでわかりやすい判断基準という点でお重宝されるので多くのアクアリストの水質確認に用いられます。
基本的には少しサンゴの状態がいまいち(ポリプの開きが悪い、発色がよくない、白化し始める)の時に試験紙を用いて海水の水質を確認するという流れになります。


テストキットを使う
テストキットは海水と液剤を使って検査するやり方です。ここでは実際のテスト様子を例に紹介していきます。
紹介例:【Red sea マリンテストキット リン酸塩】

Red sea テストキットリン酸塩
PO4
測定対象
0.1ppm
測定精度
0-17ppm
測定範囲
比色
測定方式
100
測定回数
水質検査までのながれ
>>step2. 立ち上げた海水の成分をテストキットで確認します。

テトラテスト 5in1 マリン試験紙(海水用 海水用 水質検査 テスト 炭酸塩 硝酸塩 亜硝酸塩 カルシウム PH 関東当日便
価格:1884円
(2025/4/17 11:18時点)

>>step3. 海水の成分の量に応じて対策をとる(こちらは硝酸塩が高い場合に使う除去剤)

Seachem シーケム デ・ナイトレイト de nitrate 250mL 淡水・海水用 硝酸塩除去剤 関東当日便
価格:1800円
(2025/4/17 11:42時点)

良好な飼育環境のために
海水水槽の維持には、定期的な水質チェックが不可欠です。市販の海水用検査キットを用意し、取扱説明書を丁寧に読み込みます。検査項目(pH、亜硝酸、硝酸塩、アンモニア、リン酸など)と測定手順を確認しましょう。
水槽水は、清潔な試験管や採取ボトルに規定量を採取します。生体やライブロックに直接触れないように注意してください。採取した水に、キット付属の試薬を指示された滴数または量を加え、よく混ぜます。
一定時間後、試薬と反応した水の色を、キットの色見本と比較して数値を読み取ります。各項目の数値が、飼育している生体に適した範囲内であるかを確認し、記録します。
もし異常値が検出された場合は、換水やろ過材の清掃、添加剤の見直しなどの対策を検討します。定期的な水質チェックは、海水魚やサンゴの健康維持に繋がり、安定した水槽環境を保つための重要な習慣です。
まとめ
サンゴの生息環境を再現:自宅で安全な人工海水作り
サンゴが健康に生息できる環境を再現するため、適切な塩分濃度(比重1.023~1.025程度)の人工海水を作る必要があります。高品質な人工海水塩と、不純物のないRO水の使用が基本です。水道水を使う場合は、浄水器を通してもpHが不安定な場合があるため、RO水が推奨されます。RO水のpHは一般的に中性付近ですが、使用する浄水器によって変動する可能性があります。
海水には、微量ながらサンゴや他の生物に必要な栄養塩が含まれています。また、水槽内で発生する有害なアンモニア、亜硝酸を無害な硝酸塩に変える硝化サイクルの理解も重要です。
作成した人工海水は、比重計や水温計でサンゴの生息に適した状態であることを確認します。水槽に投入後も、市販の水質検査キットを用いてpH、亜硝酸、硝酸塩などの数値を定期的にチェックし、1〜2週間は特に注意深く様子を見ることが、安定した飼育環境を築く上で重要です。

2025年4月12日
- 光合成有効層…海中の生き物が光合成をするのに必要な太陽の光を指す。海中ではこれらが届く光が曲がったり、速度も遅くなったりする。 ↩︎
- 褐虫藻と共生…自然界における多くのサンゴは褐虫藻を細胞に取り込んで生活している。
参考文献https://www.takahashi-lab-sesoko.com/ ↩︎ - イオン…原子が電気を帯びた状態の原子や原子団のこと
イオン溶解度…特定の温度や圧力において、特定の溶媒に溶けるイオンの最大量 ↩︎ - 密度が大きい…ここでは海水の比重数値を用いるので密度は”大きい”と表現する。 ↩︎
- *ライブロック…サンゴの死骸が風化し石灰化した岩で、表面にさまざまな生物が付着しているもの ↩︎
- カルキ抜き…特定の溶剤を使って水道水の塩素を取り除くこと ↩︎
- 海水用塩…食用塩と違いさまざまな物質が含まれている ↩︎
- 水槽が立ち上がる…水槽内の環境が整うことを一般的にこう表現します。 ↩︎
- ‰(パーミル)…1000分の1 ↩︎

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